神勅(しんちょく)
1 神のおつげ。神の命令。神託。
2 天照大神(あまてらすおおみかみ)が孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を葦原の中つ国に降(くだ)す際に神宝とともに授けた言葉。三大神勅。
三大神勅(さんだいしんちょく)
以下の三つの神勅。
天壌無窮の神勅(てんじょうむきゅうのしんちょく)
天照大神は瓊瓊杵尊に三種の神器を授け、勅した。
「葦原千五百秋之瑞穂国(あしはらのちいほあきのみずほのくに)は、我が子孫が王(きみ)たるべき地である。皇孫の汝が行って治めよ。さあ行かれよ。宝祚(あまつひつぎ)の隆(さかん)なることまさに天壌(あめつち)と窮(きわまり)ないだろう(永続するだろう)」(『日本書紀』巻二・神代 下 一書(第一))
宝鏡奉斎の神勅(ほうきょうほうさいのしんちょく)(同床共殿の神勅)
天照大神は宝鏡を天忍穂耳尊に授け、勅した。
「我が御子よ、宝鏡を視ること、まさに我を視るが如くすべし。共に床を同じくし御殿を共にし、祭祀の鏡とされよ」(『日本書紀』巻二・神代 下 一書(第二))
斎庭の稲穂の神勅(ゆにわのいなほのしんちょく)
天照大神は天児屋命と太玉命に勅した。
「我が高天原の斎庭の稲穂(神聖な稲穂)を我が子(天忍穂耳尊)に与えなさい」(『日本書紀』巻二・神代 下 一書(第二))
五大神勅(ごだいしんちょく)
「三大神勅」に以下の二つを加えたもの。
侍殿防護の神勅(じでんぼうごのしんちょく)
天照大神は天児屋命と太玉命に勅した。
「なんじら二神は、共に(天忍穂耳尊と)同じ御殿のなかに侍(さぶら)って、よく防護せよ」(『日本書紀』巻二・神代 下 一書(第二))
神籬磐境の神勅(ひもろぎいわさかのしんちょく)
高皇産霊神が天児屋命と太玉命に勅した。
「私は天津神籬と天津磐境をつくって皇孫(瓊瓊杵尊)のために慎み祭ろう。なんじら二神は、天津神籬をもって葦原の中つ国に降って、皇孫(瓊瓊杵尊)のために慎み祭りなさい」(『日本書紀』巻二・神代 下 一書(第二))