羈縻(きび)
(「羈」は馬の手綱、「縻」は牛の鼻綱の意)
つなぎとめること。また、そのもの。束縛。
羈縻政策(きびせいさく)
中国歴代の王朝が周辺民族に対してとった外交政策。羈縻とは、羈(覊)が馬の手綱、縻が牛の鼻綱のことで、そこからつなぎとめる意味に転じた。さらに『史記』の司馬相如伝に漢の武帝の施策にふれ「皇帝の夷狄(いてき)に対する態度は馬や牛を繫(つな)ぎとめておくように、かかわりを断たない程度にしておくのが筋道である」とみえるとおり、夷狄を巧みに御していく外交用語となった。要するにあめと鞭を使い分けながら国力の消耗を極力おさえ、ただ中国から離反しないよう、つかず離れずの関係を維持しながら国家の威信を発揚していく伝統的な対外政策である。