児孫のために美田を買わず(じそんのためにびでんをかわず)
子孫のために財産を残すと、それに頼って努力をしないのでそうすべきではないという戒めの言葉。西郷隆盛の漢詩の一節。ただ、元の漢詩は筆者はこの意ではないと思う。
幾歴辛酸志始堅(幾たびか辛酸を歴(へ)て、志(こころざし)始めて堅し)
丈夫玉砕恥甎全(丈夫(じょうふ)は玉砕するも甎全(せんぜん)を恥ず)
一家遺事人知否(一家の遺事、人知るや否や)
不為児孫買美田(児孫の為に美田を買わず)
幾度も辛酸をなめて、志は堅くなる。
真の男は、潔く玉砕するのが本懐であり、つまらなく生きながらえるのは恥である。
我が家に伝わる家訓を人は知っているだろうか。
それは子孫のために財産を残さないということだ。
上記が元の漢詩であるが、これは「私」(自分の家族)のことよりも、「公」(国家)に貢献すべきであると言っているのだと筆者はおもう。
西郷の他の発言とも整合性がある。
一般的に捉えられている上記の「子孫のためには」の解釈だと、西郷の思いとは全く異なってしまっているのではないか。