身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂
(みはたとい むさしののべに くちぬとも とどめおかまし やまとだましい)
(この身が武蔵の地で朽ちてしまおうとも、我が大和魂だけは留めておきたいものだ)
『留魂録』の冒頭に記された吉田松陰の辞世。
ほかに末尾にも5首記されている。
心なる ことの種々 かき置ぬ 思残せること なかりけり
(わが心にある事々は書いておいた。思い残すことはない)
呼たしの 聲まつ外に 今の世に 待へき事の なかりける哉
(わが処刑の呼び出しを待つほかに、この世に待つことは何もない)
討れたる 吾をあわれと 見ん人ハ 君を崇めて 夷拂へよ
(処刑された私を哀れと思う人は、天皇を崇めて外国(西洋列強)を打ち払ってくれ)
愚なる 吾をも友と めづ人ハ わがとも友と めでよ人々
(愚かな私を友と愛してくれる人は、私の友人達をも愛してくれよ)
七たひも 生かえりつゝ 夷をそ 攘はんこゝろ 吾忘れめや
(何度生き返ろうとも、外国(西洋列強)からの侵略を打ち払う心を私は忘れぬ)