紀国屋文左衛門(きのくにや・ぶんざえもん)
江戸中期の豪商。通称、紀文(きぶん)。本姓は五十嵐。紀州加田浦の人とも熊野の人ともいう。
みかんを荒天をついて紀州から江戸へ回漕し一躍巨富を得、また江戸八丁堀で材木屋を営み、江戸の大火には木曾の材木を買占めて急送し財をなしたといわれる。
当時から文学、演劇の好個の題材となったが、伝説化された部分も多く、その経歴や事績も正確に判明しない。またその散財の豪勢さも「紀文大尽」の名とともに宣伝されたが、晩年には家産も傾き江戸深川富岡八幡の近くに隠棲し、千山と号して文筆、絵画などに親しみ余生をおくったという。