慈悲(じひ)
1 仏教用語。原語はどちらか一つの場合も両方の場合もある。「慈」と「悲」とは同格であり、2語間には多少の意味上の相違がある。「慈」はサンスクリット語 maitrīを原語とし、これは mitra (友) から派生した抽象名詞で、あらゆる人に平等に注がれる最高の友情、友愛という意味。「悲」はあわれみ、同情の意で karuṇāを原語とし、嘆きを原義とする。他人の嘆きと同化し、みずからも嘆きをともにするとき、他人に対する最も深い理解が生じると説く。
2 いつくしみ、あわれむこと。なさけ。